ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
「……なに?」
魔王のお父さんが今日はじめて、私に視線を向ける。
「たとえばいちごミルクだってそうじゃないですか?
あんな真っピンクな液体、はじめは何入ってんだろーとかちょっと不安になるけど」
“親に禁止されたから。そんな得体の知れない液体飲むなって”
「いざ飲んだら、甘くておいしい~ってなるじゃないですか?」
「……君は何を言って」
「だから、自分の了見で物事決めるのはつまらんよってことです!!」
好きなものは堂々と好きでいいし
嫌いなものだって嫌いでいいし
でもいざ触れてみたら、好きになったり、するかもしれないし
「その方が人生絶対!!楽しいと思います!!」
ぶ、と隣で魔王が吹き出すのが聞こえた。
そこでハッと我に返る。
わ、私まさか、とんでもない人に、とんでもないことを…!?
「…君は」
大魔王の額に青筋が浮かびあがっている気がするのはたぶん気のせいではない。
「すっすみません!あの、今のは私を食べておいしいとかそーゆー意味では決してなく…!」
「好きなんだ、この子のこと」
魔王の腕が伸びてきて、ぎゅっ、と私の肩を抱き寄せた。