ツンデレ魔王様と同居生活はじめます。
早く隅によけなきゃと思うのに、倒れないようにするのに必死で一歩も動けない。
「りのっ…!?」
佑奈の心配そうな声がした、と思った瞬間
「おいお前何やってんだ、はやくどけよ」
取り巻きの一人だろうか、魔王とも宮前龍太郎とも違う声がした。
視界がぼやけてよく分かんないけど、声の近さからしてすぐ目の前にいるらしい。
「おいっ!」
返事をしない私に苛立ったのか、ぐいっと腕をつかまれた。その衝撃に耐えられず、ずる、と廊下に崩れ落ちる。
「おいっ……」
なぜか焦ったような魔王の声がして、
「ま、まさかこの女、宝示様のお知り合いですか!?」
続いて、おののいたような男の声。パッと私の腕から手が離される。
「…は?心配?」
「お、お知り合いでもなければ、こんな道を妨害する女、普段なら絶対許さないでしょう?」
「……まあ」
「申し訳ありません!まさか宝示様に、一般クラスの生徒の知り合いがいるとは思わず…!!」