オレと…



さらさらと

白くて冷たいものがオレにあたった。


きっと

恋人たちの好きな季節になったんだな。



時って早いな、本当に。





オレの隣には

雪だるまが作られた。


バケツかぶって

にんじんとか木の枝とかつけられて。



オレの頭には

小さな赤い手編みの帽子がかぶせられた。



通りすがりの人間が

『かわいいね。』って

そう言ってく。



オレの体に雪があたる時の

小さく微かなカツンって音が

オレは動物じゃないって

思い知らされたみたいで嫌だったけど



こんなオレでも

たまには良いことあるんだぞって

通行人を見て思った。



オレも捨てたもんじゃないって


そう思えた。




< 6 / 21 >

この作品をシェア

pagetop