あなたは運命の人
「貴女が親会社の娘だから桐人は一緒に居るだけ。家のために全てを押し殺しているの」


桐人君が優しすぎて忘れていた。
自分の立場を。


「彼が愛しているのは、私。だって高校の時だって、私を選んだでしょう?」


あぁ、そうか。
だから彼は私にキスをした。

結婚を本当にしたいから。
会社のために。

さっき聞いた時はパニックになっていたけれど心の中は熱かった。
でも今は凍えそうなほど冷たい。

目の前が真っ暗になりながらも納得した。


「……分かりました」


頷くと青柳先輩は笑みを浮かべ、去って行った。

桐人君は逆らえないから私と居た。
好きな人には全部話していたんだ。
私達の家を知っていたのにも納得した。

高校の時と同じことをもう一度しよう。

だって彼を解放出来るのは、私だけ。
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