あなたは運命の人
ちょっと待ってどういうこと。

死んじゃうってことが、嘘?

それはお母さんが死なないってこと……?


「桐人もハッキリしないからいけないわ。情けない息子でごめんね!」

おばさんの弾む声に私は足を踏み出した。

色んな感情が渦巻いた。

朝から色んなことが起きすぎて、頭はグチャグチャだ。


「二人共」

私は二人が見えると口を開いた。

「「あ、」」

二人は此方を向くと凍ったように気まずそうな表情を浮かべたまま固まった。

「私は本当に死んじゃうと思って、お母さんが頼りない私を置いていくのが心配で桐人君に頼んだのならそうしてあげようと思って、桐人君と一緒に居たのに……」

身体は怒りで戦慄き、口に出すと涙が込み上げてきた。

命を使ってまで私を騙していたことに。

「許せない……私を騙していたのね……」

キッと二人を睨むと二人は肩を飛び跳ねさせた。
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