あなたは運命の人
溜め息をつくと訊ねた。

「何があったわけ?俺にも彼女から意味の分からないメールがきたんですけど」

『美優ちゃんのお母さんが死んじゃうのは嘘なのよ……』

理由を聞くと頭が痛くなった。

「そりゃ彼女も怒るでしょ……」

良い大人達がついて良い嘘くらい分かるだろ……。

『でも、桐人も悪いんだからね』

「はぁ?俺も謝られる立場だと思うけど?」

絶対に俺に非は無いのに何故か俺のせいにもされて、自然と眉間に皺が寄り、低い声が出ると電話の向こうから『ごめんなさい……私達のせいです……』と小さな声で謝罪が聞こえてきた。

「もう忙しいから切るよ?」

『ちょっと待って!電話したのは、桐人にお願いがあって……』

「なに?」

『仕事が終わったら各務さんの家に行ってくれないかな?美優ちゃん、居ると思うんだけど、居ないって言われちゃって……』

「本当に居ないのでは?」

『でも美優ちゃんのママが美優ちゃんの行きそうな所って各務君以外無いって……』
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