あなたは運命の人
「君は俺が子会社の息子だから、親の会社のために自分と結婚したいと思ってた?」

私が小さく頷くと、桐人君はやっぱりかと呟いた。

「美優、聞いて」

そして私の両頬を大きな手で包んだ。

「君は大企業の萩原のご令嬢で、俺は萩原の子会社の社長の息子、身分は明らかに君の方が上だ」

その言葉に胸にはツキっと痛みが走る。

「それは変えられない事実だけど、俺は両親達が勝手に美優の婚約者にしたことを嫌だと思ったことは一度も無い。それどころか、美優で良かったと思ってる」

苦しくて下を向いた時に前から聞こえた言葉に私は目を上げた。

瞳に映ったのは、眩いほどの優しい笑みと瞳。

「俺達の両親に感謝してるほど、美優が好きだよ」

更にそこに桐人君のストレートな言葉。

心臓はドコドコドコ!と激しい音を立て続け、制御不能状態。

「それよりさっきの続きを言って。美優は俺をどう思ってるの?」

「ほ、本当に、私が好きなんですか?」

「俺は君がご令嬢じゃなくても好きになったよ。美優だけがずっと好きだよ」

再び投げられたストレートすぎる甘い言葉に脳がクラクラするが、口を開いた。
< 160 / 172 >

この作品をシェア

pagetop