あなたは運命の人
「桐人君、母が暴走してごめんなさいっ!」

桐人君は運転しているが、私はシートベルトを握り締めながら頭を下げて謝った。

「気にしないで。僕からもお願いしたことだし」

桐人君は怒りもせずに返してくれた。

でも家から出されるとは思いもよらず……これからどうやって親孝行すれば……それに、

「桐人君は、本当に、大丈夫ですか?」

「あぁ」

桐人君は即答してくれたが、不安しか過らない。

だって私達、三年以上まともに会話もしていなかった。

そんな相手と突然住むなんて常識的に考えて無理だよ。

「私一人でマンションに行きますから、桐人君は家に帰って下さい」

「僕、実家に住んでるから、一緒に行かないと怪しまれるよ」

うっ!確かにそうだ!

「では私が何処かのホテルに泊まります!」

「おばさんがハウスキーパーを入れるからって言ってたから君も来ないとバレてしまう」

そこまで手を打たれているとは!
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