あなたは運命の人
「ごめんなさい!私がご飯を作るって言ったのに!」

私は慌てて頭を下げた。
すると頭上に「頭を上げて」と優しい声が届いてきて驚いて頭を戻した。

「あんなしっかりとした夕食を作ってもらったから、朝食は作らせてよ。それに昨日の態度も謝りたいし」

「え?」

「服に着替えて、顔を洗っておいで。そしたら一緒に朝食を食べよう」

昨日のピリピリモードが嘘みたいな、いつもの優しい桐人君だ。


「昨日はごめんね」

ダイニングチェアに腰を下ろすと眉を下げた桐人君に謝られた。

「私がいけないんです!桐人君は悪くないです!協力してくれている桐人君のことも考えずに諒ちゃんを入れたから!それに後片付けを全部やらせてしまったし……」

立ち上がって必死に伝えると、桐人君は柔らかく笑った。

「じゃあもうこの話は終わろう。朝ご飯を食べよう」


桐人君はこれから仕事だというのに、朝食を作ってくれた。
サラダ、苺とオレンジとキウイなどのフルーツの盛り合わせ、トースト、飲み物は紅茶。
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