あなたは運命の人
「こんなにもやってもらってすいません!」

「ただ切っただけだから。君みたいにしっかりした物は作れないから。勝手に冷蔵庫の物を使ってごめんね」

「いえいえ、二人の物ですから、自由に使って食べて下さい!」

「ありがとう」

優しく下がる目尻。

昔から私は桐人君の笑顔が好き。
まったりとした空気が好き。

ドキドキするけれど安心するの。

「そうだ、今日の予定は?昨日聞きそびれから」

桐人君がコーヒーに口を付けると思い出したのか訊ねた。

「今日も大学で、その後は母に会いに行きます」

「そうか。僕も今日も仕事。明日の土曜日も仕事になりそうだ」

「分かりました」

「おばさんの様子はどう?」

「今のところ元気です。でも、母に日曜日は桐人君と二人で過ごしなさいと言われてしまいました……」

「そうか、困ったね」

「平日に毎日顔を出すので大丈夫です。桐人君は日曜日はゆっくり休んで下さい」

「君は?」

「え?私も適当に休みますから」

「そうか、分かった」
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