あなたは運命の人
二日後の日曜日。
私は昨日の土曜日も実家に帰って様子を見に行った。
お父さんも心配だから、仕事がお休みの日に会いたかったから。

お父さんと二人きりになったとき、さりげなく母のことを探り出そうとしたが、「母さんは元気だよ」しか言わない。
二人は私に心配を掛けないようにしている。


「暮らしてみて、何か必要な物とか無い?不足している物があるなら買いに行こう」

朝食のコーヒーを啜りながら桐人君が提案した。

「無いですよ、大丈夫です。桐人君はゆっくり身体を休めて下さいね」

「じゃあ昼食と夕食は任せようかな。食材の買い物には付き合うよ。十時に出ようか」

「分かりました、お願いします」

今日も桐人君は朝食を作ってくれた。
此所に来てから一度も桐人君より早く起きられていない。
明日こそ早く起きたい。


朝食を済ませると桐人君は自分の部屋で仕事をすると言ってリビングから出て行った。

十時、桐人君がスーパーに車で連れて行ってくれた。

桐人君は冷蔵庫の前に買った荷物を置くとリビングから出て行ったので、おそらく先程の続きをやるのだろう。
私は昼食の準備に取り掛かる。
昨日思い出して実家から持ち帰った愛用の白のレースのエプロンを着ける。
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