あなたは運命の人
駅に歩いて向かう。
十五時すぎだけど、今日は実家に帰る時間と体力は無い。
疲れた、でも胸には達成感。

身体が弱いせいで体育をまともにやっていない。
だから働くこともやらせてもらえないと思っていた。
諒ちゃんの会社ならと両親が許してくれた。
たったの五時間だけでも、雑用でも働けたことが嬉しかった。

お仕事を頑張っている桐人君のために晩ご飯を作ろうとふと見た先、私は見つけてしまった。

スーツ姿の桐人君と、その横に居るベージュのトレンチコートに白のワンピースの髪の長いスレンダーな女性。

見覚えしかない。

青柳紗英《あおやぎさえ》先輩。

桐人君の高校時代の彼女。


道路の向こう側に居る二人の姿に一気に息が苦しくなる。


高校一年、私は青柳先輩と桐人君は二人とも容姿端麗で成績優秀、更には生徒会にも入っていて目立っていた。
二人はいずれくっつくと誰もが口にしていた。
そんな二人が恋人同士にならないのはもしかしたら私が同じ高校に居るせいかもしれない。
そう思った私は婚約を解消を申し出た。
桐人君はすぐに「分かった」と了承した。
その後すぐに二人が交際していると噂が広まった。


もしかして、デート……?

まさかまだ付き合っているの?

二人はあれからもずっと続いているの……?
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