あなたは運命の人
それから私は結婚の話を出される度に逃げ続け、桐人君とそのご両親との食事会も拒否し続けていた。

それなのに勝手に進んでいく私と桐人君の結婚話。

桐人君は私のことなんて何とも思ってもいないのに、桐人君はご両親の会社の為にこの婚約を破棄出来ないのだ。

だから私は桐人君のためにこの結婚を破棄させてあげなくちゃならないのだ。


「俺に会わせろ?美優、俺の言い付けちゃんと守った?」

諒ちゃんの部屋で結果報告すると、お気に入りの焦茶色の皮張りのシングルソファーに片肘を付き、脚を組みながら、茶色のパーマがかかった自分の髪をくるくる巻きながら呆れた顔を作った。

彼は同い年で幼馴染の各務諒《かがみりょう》。
私はいつも諒ちゃんと呼んでいる。
茶色のパーマがトレードマーク。
背は一七七センチと高い方だし、脚も長くて羨ましい。

そして彼は各務グループという大企業の製薬会社の一人息子。
彼の部屋だけでもバストイレ付きの三十畳はあるこの部屋を見てもらえば、どれだけのお金持ちかは分かってもらえると思う。
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