あなたは運命の人
「看病した俺にご褒美を頂戴」

目の前で妖しく微笑む顔に鼓動が激しさを増す。

「ご、ご褒美って……?」

「勿論この前のキスの続きだよ」

はっきりと告げられると顔が熱くなるが、それよりもだ。

「ちょっと離れて下さい!」

私は桐人君の胸を両手で押す。

「なんで?」

桐人君は眉を寄せ、あからさまな不機嫌全開の拗ねた声。

「お風呂入りたいんです!ずっと入ってないから!」

身体は自分で拭いてはいたし、水の要らないシャンプーをハウスキーパーさんにこっそり買いに行ってもらって使ってはいたが、ちゃんと湯船に浸かれていない。
だから桐人君と今、密着したくない。

私の女としての気持ちが伝わったようで桐人君の手が離れてくれた。

「確かに初めてだしね。美優が気にするよね。全身隈なく綺麗にしたいよね。気にしなくてごめんね」

安堵したところに、桐人君は笑顔で意味深に言う。
言葉の意味を理解するとボボボボボと頬は熱くなる。
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