【完結】この愛だけは決して揺るがない〜永遠の愛誓います〜
「クッソ……!」
悔しさで腹が立って、思わず壁を殴った。
「……加古川先生」
「助けてやりたかった……母親も」
そんな俺を悲しそうに見つめる朝霞先生は、俺に向かってこう言った。
「僕も助けてあげたかったです……。悔しいです」
「……医者ってのは、残酷な仕事だな。本当に」
助けてやりたかった。だけどなす術がなかった。
「でも仕方ないです。……甲状腺クリーゼは、予防することでしか治療法がない。甲状腺の検査をもっとしっかりとしておけば、もう少し早く対処出来ていたかもしれない」
朝霞先生のその言葉は、俺の胸に激しく響きわたった。
「……赤ちゃんが助かっただけでも、奇跡と言っていい。やれることは、全部やりました」
「……コンサル、ありがとうございました。赤ちゃんのこと、宜しく頼みます」
「はい」
俺は朝霞先生に軽く頭を下げ、一旦医局へと戻った。そしてソファに座り、ため息を付く。
「加古川先生、お疲れ様」
と医局へと戻って来たのは、川富先生だった。川富先生は俺に今コーヒーを手渡すと、俺の肩を叩いた。