【完結】この愛だけは決して揺るがない〜永遠の愛誓います〜
もう少し早ければ、助けられたかもしれない命だってあったかもしれないと思うこともある。あと少し、早ければ……。
数ある命の中で、救える命の方が多いかもしれない……。だけど救える命なんてものは、限られている。全員を助けたいと思うけど、時にそれは残酷な結末を残す。
「……加古川先生、どうしました?」
「え? あ、いや……何でも」
そういえば、今頃美乃梨は鈴音と一緒に買い物に行っているが……。アイツ、大丈夫かな。
俺の目の前で身を投げ出そうとアイツを助けたが、アイツには仕事も家も恋人も失い途方に暮れていたようだ。 思わず助けて、しかも家にまで住まわせてやることにしたが……。一番心配なのは、また変な気を起こさないかどうかだ。
遺書まで残して死のうとしていたアイツを助けたことに、後悔はないが……。あれだけ人生に絶望した人間がまた同じことをする可能性は、充分にある。
その時、医療用のスマホが音を立てて鳴り出した。
「はい加古川」
電話に出ると急患のようだった。
「分かった。すぐ行く」
「急患?」
「ああ、行こう」
「了解」