【完結】この愛だけは決して揺るがない〜永遠の愛誓います〜


「……そうか」

 俺はスマホをポケットにしまうと、下を向いた。

「……奥さんね、もうすぐ赤ちゃんが産まれるんだって」

「……そうか」

「旦那さん、赤ちゃんが産まれるの……すごく楽しみにしてたんだって。旦那さん、赤ちゃんの名前も考えてくれてるみたい」

 川富先生のその言葉に、俺は黙って耳を傾けた。

「……そんな矢先、あんなことに」

「ええ、そうみたい」

 川富先生は患者の様子を見てくると言って、医局から出ていった。

「……あの患者、目を覚ますといいな」




◇ ◇ ◇




「ただいま」 

 その日俺が帰宅したのは、当直だったこともあり明け方6時半くらいだった。一旦リビングに戻り、ソファに座るとため息を付いた。

「しかし、疲れたな……」

 夜中に酔っ払って頭をぶつけたという患者が来たのだが、処置しようとすると暴れてしまって、なかなか大変だった。しかも酔っているから、酒臭かった。

 幸い少し縫うだけで済んだから良かったものの、打ち所が悪ければ大変なことになっていた。

「……はぁ、顔でも洗うか」
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