今日からはじまる恋の話
流しそうめんの全長は約4メートルくらいあって、娯楽でやるクオリティじゃなかった。
しっかりとした傾斜角がある竹の道は遠目から見ると、ステゴサウルスみたいだ。
「お前って、そうめんよりひやむぎのほうが好きなの?」
「え、うん」
「和久井さんに言われてわざわざ遠回りして、ひやむぎ買ってきてやった」
「そ、そうなの? ごめん。ありがとう……」
この反応からして、零士が頼んだことではなかったらしい。まあ、そうだろうと思ってたけど。
「なんでひやむぎが好きか教えろ」
「な、なんでって、色麺ってひやむぎしか入ってないことが多いから」
「色麺が入ってるほうがいいんだ」
「そうだけど……」
零士はなんでそんなことを確認してくるんだろうって顔をしていた。
少し前の俺だったら、こんなこと気にも留めなかったと思う。でも今は零士の好きなものや興味があることが無性に気になる。
……聞かないと気が済まないって、マジでガキじゃん、俺。