今日からはじまる恋の話


ルームメイトが全員揃ったところで流しそうめんが始まった。

麺の他にミニトマトとブドウも一緒に流した。調子に乗ってチョコボールを流したら零士に本気で怒られた。でも色麺を取ってあげたらすぐに機嫌が直っていた。

「なんか俺、ヤバい気がする……」

後片付けをしながら、独り言をぼやいていた。

なにをしてても、どんな時でも零士のことを目で追ってしまう。こんなこと女子が相手でもなかったことだ。
 

「陽汰って、零士となんかあっただろ」

使い終わった食器をキッチンに運ぶと、和久井さんが洗い物をしてくれていた。まだ肯定はしてないのに「バレバレだよ」と笑われてしまった。

「なんか俺、零士のことすげえ見ちゃうんですよね」

和久井さんは俺と同じでノーマルだけど、LGBTに理解がある人だから自然に話すことができていた。

「女好きのお前が?」

「……はい」

たまに、女子がいない男子校だと同性相手を意識したりすることがあると聞く。でもそれって思春期真っ只中で、性的欲求を満たす相手として男しかいなかったという人もいると思う。

俺の思春期はとっくの昔に終わってるし、頭の中が下ネタでいっぱいだった頃も過ぎてるし、可愛い女子なら周りにいくらでもいる。

それなのに俺は……なんで零士のことばっかり考えてんだ?

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