今日からはじまる恋の話


「おい、話がある」

零士は組み立てた竹を丁寧にバラしていた。他のルームメイトも各々片付けをしてるのか、庭には零士しかいない。

「な、なに?」

「俺とハグしろ……!」

それはまるで決闘を申し込むような態度だった。こんなのおそるおそる頼むもんじゃない。

「え、は、なに言ってんの?」

「うえーいみたいなノリでいいからさせろ」

「なんか悪いものでも食べたの?」

「いいから、するぞ」

「え……」

許可なんて待たずに、零士の肩を引き寄せた。

俺たちの背丈は同じくらいだけど、腕の中にいる零士の体は俺よりも細かった。

女子みたいに出るところが出てるわけじゃないし、曲線がない体は柔らかくない。

それでも、あの時に感じた胸の熱さがまた押し寄せてきた。

重なり合っている心臓から同じ速さがする。

ハグは軽くするものなのに、離したくないって力を強くしていた。

足りない。

もっと知りたい。

これは友達なんかじゃない。


ああ、完全にスイッチが入っちまった。


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