今日からはじまる恋の話

「な、長いよ……！」

零士が俺の胸を押して離れた。なにするんだって怒ってくれたらよかったのに、零士は耳を赤くして、戸惑いと恥ずかしさが入り交じってるような顔をしていた。

……この表情を他のやつにも見せたことがあるんだろうか。

誰も知らなければいいと、誰もこいつに気づかなければいいのにって思ってる。


「俺、お前のこと好きなのかも」

「え……？」

「いや、かもじゃねーな。もう零士のこと好きなんだわ」

ごちゃごちゃ考えるのは得意じゃない。やっぱり俺は直感タイプだし、零士のことが好きだと思ったら誰がなんと言おうとそうなんだと思う。


「じ、自分がなに言ってるかわかってる……？」

「お前こそ、なに言われてるかちゃんとわかってる？」

「……鈴村はノンケでしょ。男の俺を好きになるなんてありえないよ」　

「そうだな。たしかに俺の恋愛対象は男じゃない。でも零士のことだけは別だし、これは間違いなく恋愛感情だよ」

じゃなかったら、こんなに心が揺さぶられることはない。