今日からはじまる恋の話
「私も零士くんにおんぶされながら、この道を歩いたことがあるのよ」
「へえ、そうなんですね!」
私も零士くんと飲める時には、ついつい酔い潰れてしまうことが多い。でも振り返ると彼は私の前で無防備な姿を見せることはなかった。
私が零士くんのことをおんぶすることはできないし、そうなったら迷惑がかかるという考えが少なからず彼の頭にあったんだろうと思う。
「私はこの道で零士くんに将来の夢を語ったのよ」
「どんな夢ですか?」
「それは零士くんと私だけの秘密よ」
「えー! 教えてくださいよ!」
私はダメダメと、笑いながら首を横に振った。
いつか絵本のような街に住みたいと伝えた時、零士くんはそれを自分の夢にもしたいと言ってくれた。
あの夜のことはずっとこの先も私の支えになっていくだろう。