やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
ヤケ酒は止めた方が吉
深酒したのが運の尽き
近所に公園が、ある。
──で、駅までの道にそれがね、あってですね……
そこで子供たちが滑ってるのを良く見かけてはいたんですけれども……私はほら、大人なもので……ねえ……? そこに混じって一緒に滑りたいなんて、出来る訳が無いじゃないですか?
何を、って滑り台ですよ。
人生じゃないですよ。
私は地方出身でこっちには親戚がいないですし、小さいお子さんがいるような仲の良い人もいないんですよ。だからね、口実が無かったんです。でもいつも滑りたいって思って見てたんです! それだけなんですよ!
「うん、まあ……そうなんだ……分かったけど……酔ってるの?」
「酔ってません!」
勢いづいて喋る私に、向かいの男は腰に手を当てて静かに首肯した。
「……そう」
ただ酔っ払いは皆そう言うんだよな、って言う目は口ほどに物を言う眼差しではあるものの……こればかりは譲れない、私は酔ってない!
「そもそもですね、あなたのその身分証の方が嘘くさいからねっ、暗くてよく見えないからね!」
「……本物だろ」
低い声で反論してきた相手をじろりと相手を睨む。
私、三上雪子に喧嘩を売ってきているらしい相手は自身を公務員と名乗っている。
何処かで見た事のあるような、写真と名前の入ったそれ。
その写真の男に私は公園で滑り台を滑っていたところ「職質」を受けてしまったのだ。
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