やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
内心で首を傾げていると、河村さんが驚くべき事を言い出した。
──智樹と雪子さんは、大学時代ずっと付き合っていた、と……
何を言ってるのかしら……
智樹は私の信者よ? そんな事ある訳ない。
私に嘘を吐いて、他に女を作って……そんな筈ないでしょう? 智樹は私のものよ。
そんな自信が確かに頭を占めていたけれど、何故か身体は動かない。声を出したくても上手く出ない。
踵を返す河村さんを呼び止められないまま、隣に歩く雪子さんに怒りが湧く。私の智樹を奪った上に、今度は河村さんまで……
──どきなさいよ、そこは私の場所よ!
一歩二歩と歩いて、がくりと膝が落ちた。
ショックなのだ。智樹の事も、河村さんが何かを勘違いして私を嫌悪してしまっている事も……
立っていられなくてへたり込んでいるのに、河村さんは振り向いてくれない。
どうして……? 私、何も悪い事なんてしていないのに……
悔しくて拳を作っていると、着信があった。
表示される名前を見れば、それは実家からのもので……
私は泣きながらそれを取った。