やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

「お前もその頃お付き合いしていた相手がいただろう。母さんから聞いてるぞ」
「……っ」
 両親に智樹と付き合ったと話したのは智樹の大学卒業のタイミングだった。
 それまで黙ってたのは、他にも軽くお付き合いしている人がいて。その人たちの事を母に話すのが楽しかったから。
 だって他の女の子に話すと、羨ましがられて嫌がれるんだもの。でも素敵な人と付き合ってるって誰かに話したいじゃない?

 それを止めてまで智樹と付き合うと親に話したのは、良い家に住みたいなって思ったから。
 古くて物音丸聞こえのアパートがカッコ悪くて、私に似合わなくてずっと嫌だった。

 けど先立つものを考えると一緒に住む人が必要で、それには智樹しかいなかったのだ。
 同棲の許可が親から降りる人物……

 私は唇を噛んだ。
(智樹、狡いわ。急に掌を返して……)
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