やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
「じゃあ明日は……」
「あ、明日から一週間、従弟が来るんだ! お世話してあげないと! ごめん!」
「従弟?」
「大学の下見にね」
何故か怪訝な顔をする河村君に、にこにこと笑顔を返すが、背中はちょっと汗を掻いている。
従弟の話は少し前から頼まれていたけど、普通一人暮らしの女性の家に男の子を頼むだろうか……? なんて疑念もあるが、父は身内を信頼している。
疑わないようにしている。とも言えるけれど、親戚の頼み事は余程の事が無い限り断らない人だ。
それに思い浮かべるのは、夏の日に半袖半ズボンでセミを追っかけ回していた五歳も年下の小学生の男の子。へびを背中に入れられそうになって泣きながら怒ったら、あかんべえをされた事。
(まあ、心配する事なんて無いよね……)
今回ばかりは渡に船とばかりに頷いた。
これは、神の、啓示!
喜びに拳を握り河村君に顔を向ければ、眉間に皺を寄せた、難しいのままでこちらを見据えていた。
けれどそれを見て思わずたじろぐ私に、すぐに表情を変え、いつもの顔で笑いかけてきた。