やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

 お酒を飲むよりも早く家に帰りたい気分だったけれど、誘ったのは自分だったと気付く。
 ざわざわと居酒屋特有の人の気配に馴染みながら、半個室の席について、ふと首を傾げた。

「あれ?」

 それと同時にある事にも気付く。

「ん? どしたん?」
 取り敢えずビールの美夏がジョッキを片手に首を傾げてみせた。

 自身の感覚を探りながら一つ一つ言葉を吐き出していく。

「私、智樹と別れて……」
「ん? 元カレの話? どうした、今更?」
 胸に手を当てながら言葉を続ける。
「うん……あの時、美夏に話を聞いて貰いたかったんだけど……」
「その時にはもう、河村さんが支えてくれてたって事か。くあー」

 お酒のせいか、絡み方がおやじくさい。
 でもそんな美夏に目を合わせて恐る恐る口を開く。
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