やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

「でも今は誰にも話したく無いって思ってるの」

 泣きそうに声が震える。
 美夏は背中を伸ばして素面のような真顔に戻る。
「何? 河村さんと喧嘩したの?」

 喧嘩……それの方がいい。
 だって私がしたのは……

「一方的に傷つけた……」
 優しい河村君の好意を無碍(むげ)にした。
 自分の気持ちが受け入れられないからって、傷つくのが嫌で先に傷つけた。

 そんな自分を河村君に知られたく無くて、言い訳を作って逃げて。

 奥歯を噛み締めて、目に涙を溜めていると、美夏が頭を撫でてくれた。

「何があったかは知らないけどさあ……人間間違える時だってあるし、本音なんて簡単に晒せないもんだって。河村さんだってさ、好きって、ごめんて謝れば許してくれると思うよ?」

 からりと笑う美夏にボロリと涙が溢れる。
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