やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
「雪子は河村さんが好きなの?」
真っ直ぐに問われ、赤面しつつも頷く。
「どういう条件で雪子が受けた話なのかは分からないけどさ。好きになってもおかしくない距離に置いておいて、いざ恋心を抱いたら切り捨てるんだ? 最低じゃん?」
「違う……っ」
美夏の科白に首を横に振る。
だって切り捨てたのは……私だ。
捨てられた人がどんな気持ちか知ってるのに、一番不誠実な形で手を離した。
「私が……狡いから……」
声が詰まる。
「好きになってまた傷つくのが嫌で、逃げたのは私で……
また選ばれなかったらと思うと、怖くて……」
自分の気持ちを探りながら言葉を紡げば、出てくる本音が耳を打ち、項垂れる。
「……だから雪子は話したかったんだろうね、日向さん。だったっけ? 元カレについて」
「え?」
疑問を口にする私に苦笑しながら、美夏はジョッキを傾ける。
「あんたの中では、日向さんの事はもう終わった事だから話せるけど、河村さんの事は終わらせたく無いって事みたい」
その私は言葉にぱちくりと瞳を瞬かせた。
「終わらせたく……無い……?」
好きだから……
でも智樹は? 智樹の事だって好きだったのに……?