やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
「こう言っちゃ何だけど……」
視線を下げながら口にする美夏にふと顔を上げる。
「雪子は日向さんと付き合っている時さ、なんていうか……諦めた感じがしてたよ。一歩引いてたっていうか、好きよりも遠慮を優先してた。でも……今は河村さんの事が、多分一番大事なんだよね? だから思い切れなくて、溜め込んでるんじゃないの?」
美夏の口から聞く私の心情は、胸にぐさぐさ刺さる。本心と向き合えない、振る舞えない悪い癖。自分の悪い部分が晒されて、見たく無くて、顔が歪む。
「泣く事じゃ無いでしょ、馬鹿ね」
恐らく酷い顔をしてる私の頭を、美夏はもう一度ポンポンと叩く。
「だからね、好きになって悪いとか、間違ってるって事じゃないのよ。ちゃんと伝えてさ、いいんだよ?」
その言葉に項垂れれば、溢れ落ちる自分の涙が目の前に見えて。
「さっきも言ったけど、それで嫌な顔するような奴なら、こっちから願い下げだって話なんだから」
「うん……」