やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
従弟が来た
「雪ちゃーん」
遠くで手を振る従弟に目を丸くする。
ぱたぱたと駆けつける姿を見上げては、一言。
「大きくなったねえ」
これに尽きる。
飲みの翌日、私は従弟の圭太を迎えに最寄り駅まで来ていた。
多少の面影はあるけれど、見上げる従弟は私の知っている小学生の男の子と大いに様変わりしていて。
受験前にこっちに来たのは、こっちの空気に慣れて、キャンバスを見学して、目的意識を持ちたいからなんとか……言ってた気がする。
正直気分転換とか、都会見てみたいからっていう理由の方がしっくりくる気がするけれど。
「最後に会ったの五年前くらいだっけ? 小学生卒業したとかだから、そう感じるのかもね」
そう言って自分の頭に手を置きながら従弟──圭太が笑う。
「……そうだっけ? そんなに経ってたかあ」
にかりと笑う圭太にぎこちなく笑みを返す。
(うーん、部屋狭いけど、大丈夫かなあ……)