やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
「えーと。そう、ね。確かに私だと気が散っちゃうかもしれない、かな。一人で寂しいなら、河村君は学生時代勉強出来たし、教えて貰えれば助かるのかも、しれない……」
「そんな……」
圭太は少しだけ傷ついたような顔をしてから、こくりと頷いた。
「……分かった。でもご飯は雪ちゃんと一緒に食べる」
「うん、いいよ。そうしよう」
むすりと口を引き結ぶ圭太の頭を撫でて、ホッと一息吐いた。
本当は私も、圭太を目の当たりにして一緒に住む事に怖気ついていたから、河村君のこの提案には救われた気になっている。
(小学生のイメージしか無かったのに、ここまで育っているんだもの)
「じゃあこっち」
いつの間にか圭太の荷物を持ち、踵を返す河村君に続きながら急いでお礼と謝罪を口にする。
「河村君、ありがとう。あと──ごめんね」
「何が……」
ピクリと反応した河村君が、低い声で短く返した。