やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
「今日来てくれてありがとう。あと、昨日酷い事言ってごめんなさい。あの……」
謝らないと。
自分の事しか考えずにとった行動を。その気持ちが急いて慌て過ぎたのか、河村君の方が受け止められないように、両手を目の前にかざした。
「──え? そ、それは待って。後でにしてっ……今から立ち直れないダメージ受けたら、家まで歩いていける自信がないっ、せめて心の準備をさせてくれるっ?」
そう言って河村君は強張った顔でそっぽを向いてしまった。荷物を持っているせいか、上手く顔が隠せないようで、一生懸命顔を背けている。
(やっぱり怒らせちゃったのかな?)
それでも、見通しの悪い私が、成長した圭太に戸惑う事を見越してしまったのかもしれない。そう思ったら、やはり、気になってしまったんだろうなあ、優しいなあ。なんて思ってしまって…… 思わず緩みそうになる頬を押さえた。
「……喧嘩でもしてるの?」
私たちの様子を横目で見ながら圭太が口にする。
「ああ、うん。何でもないよ? 気にしないで」
慌てて手を横に振れば、ふうんと疑わしそうな声が返ってきて。
「付き合い始めたばっかりなのに、もう喧嘩って……変なの」
なんて突っ込みまで放ってくる。
(あ、まあ……実際は付き合っていないので……)