やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
ここでは配属後、二週間ほど関連部署で研修を受ける制度が設けられている。これは部署間交流の一環にもなるとの事。
先輩の説明によると、忙しい時期はどうしても部署間でのやりとりが険悪になってしまうし、こういった関係作りで雰囲気が改善されるなら、という事らしい。
(でも何も今じゃなくてもさあー)
なんて自分の都合で落胆する。
一方の河村君は大して驚いた様子もなく、一人慄く私の顔を見てすぐ、衆目の元あの日の忘れ物を届けてくれた。……ありがとうよ……
それは元カレに貰ったピアス。
就業時間には着けていないけれど、あの日はデートだったから……仕事が終わってロッカールームで着けて待ち合わせ場所に行ったんだよ。
(滑り台遊びで無くなったと思ってたのに……)
因みに一つ残った分はゴミ箱に捨てた。
残してたら未練が残りそうだったから。
それともあーゆーのも年取ったらいい思い出になるのかな。
今は見たくも無いんだけど……
河村君がわざわざ届けてくれたお陰で家でピアスが揃ってしまった。と、顔を顰める私に奴は更に言い募った。
『あ、なんかいらないみたいなんで貰っておこうかな。迷惑料の一部として』