やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
想いを口に
「……流石に俺は……帰るよ……」
スマホで近隣のホテルを探し、ようやっと部屋に辿り着いた。
河村君の申し出は当たり前の事なのに、途方に暮れる思いが湧く。
そしてどこか、河村君は一緒にいてくれると思っていた自分がいる。
こんな時まで一緒にいるような関係じゃないのに……
「……」
気遣わしそうな顔をする河村君と目を合わせて、口を開き掛けては、閉じた。でも……
「行かないで」
泣きそうに顔が歪む。震える両手を胸元で握りしめ、それでも自分のズルさに、恥ずかしげも無く、言葉を紡いでしまう。
「怖いの……お願いだから、傍にいて……」