やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

 やっと言った言葉から目を背けるように俯いた。
 だって、きっと河村君は、こんな状況の私を一人にするような真似は出来なくて、断れない。
 ぎゅっと目を閉じれば、自分の気持ちが暗闇で渦を巻いて語りかけてくる。分かっている。こんなのは狡いと。
(でも……こんなの……これじゃ……)

 ──智樹みたいじゃない……

 自分で思いついた事実が胸を突き上げる。
 恐る恐る伸びてきた河村君の手を躱すように、私は急いで一歩下がった。
「ごめんなさい!」

 傷付いた顔を見せる河村君を見上げ、私は、ああやっぱりと眉を下げた。

「ごめんなさい……私……河村君の優しさを利用しました……」

 恥ずかしさに口元が戦慄く。
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