やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
貴也視点
精一杯の紳士を発揮して、三上さんの手を引き、一緒のベッドに入った。
抱きしめて眠るだけで切なくなってしまって……実は結構辛い。でも、
そっと覗き込めば、俺の腕の中で安心して眠る彼女の寝顔が堪らなくて、幸せで緩む頬を誤魔化せない。
そんな事を一人繰り返しては、にやつく時間を噛み締める。
……少しだけ、カッコつけなきゃ良かった。っていう気持ちがあるけど、流石に「この状況じゃなあ」という思いの方が強かった。
何のわだかまりも無く、俺だけ見て欲しい。
というか、元カレなんてさっさと忘れて欲しいから。
そっと、ずっと大好きだった人の頬を撫でる。
(一途なのは三上さんの方だ……)
日向を三上さんの心から追い出すのは大変だろうと踏んでいた。そもそも他所の女を好きだと知っていた奴を、その上で恋してしまった人だから……
本当はその相手と浮気してたって話を聞いても、許してしまうのでは無いかと思っていた。