やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました

「どうしよう……」
 そう零す貴也に小さく首を傾げる。
「何、が……?」
「我慢、出来ない、かも……」
 それは、多分……例の、あれの話だろうとは、流石の雪子も察したけれど、同時に疑問も抱いた。

(婚約者なのに……駄目なのかしら?)
 何故、彼はそう思っているのだろう。
 両家に挨拶を行い、同棲の許可も得た。親の考えが古風とは言え、現代の男女関係において、雪子は自分が些か遅れているとすら思っていた。

 だからこそ、貴也のこの反応は不思議で……

「我慢……?」
 疑問をそのままに呟く雪子に貴也は困ったように笑ってみせた。
 その様子に雪子は恥じらいを感じる。
(な、なんだか強請っているみたいっ)
 そんなつもりは、ないのだけれど……

 視線を彷徨わせる雪子の頬を、貴也は優しく撫でて、目を合わせた。
「バージンロードをさ、歩きたいかなあ。って」

 歩きたいけども──

 それは多分……純白なままで……という意味なのだとは、すぐ察せられた。から……
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