やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
──結局雪子は結納が済むまで俺の実家で預かる。という、母親から無情な決断を言い渡されてしまった。
折角あちらのご両親から同棲の許可が降りたというのに。
結納と言っても両家で食事をするだけなのだけれど。ちょうどお互いの都合が付かず、八月に予定している。
長い……
今うちの家族は新しい娘を可愛がって遊んでいるらしい。
俺はそれをタブレット越しに指を咥えて見ているしか出来なくて。申し訳無さそうにする雪子に、俺の方こそ触れたくて構いたくてたまらない気持ちが益々募る。ぎりぎり通勤圏内の自分の実家が恨めしい。
会えるのは会社と週末のデート……というか、式場の打ち合わせや新居巡りの時だけで。なんとなく仕事くさい。会えるだけで嬉しいのは確かなんだけれど。
けれど、東京で言うお盆の少し前──七月の終わり。今日は両親と玖美が父の実家へお盆の里帰りの日なのだ。家族が不在の家に雪子だけ留守番というのも居心地が悪かろう。
その為、その間だけ二人で過ごす権利を勝ち取った。