やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
しかし──何が悪いんだ! と、私は声を大にして言いたい。
私が滑っていたのは昼間は子供たちで列をなす巨大コースターの滑り台。休みの日とかその様を横目に通り過ぎながらも、私だってずっと滑ってみたかった。
それをちょっと遅い時間に滑って遊んでいたからって、「こんなところでこんな時間に一体何を?」って……滑り台滑ってる以外に何してるように見えるんだろうか。
折角人が気分良く滑っていたら、着地点の暗がりで男の人が立って待ち構えてるもんだから、こっちこそ幽霊かと思ってびびったし。
いいじゃないか、夜に滑り台滑ったって? ここの公園は夜に立入禁止になってないもんね。
よし私は悪くない。
うんうんと一人頷き改めてキッと警察官(仮)を睨みつける。
「あー、まあ。別にいいんだけど……もうね、二十三時だから。確かに近所迷惑になるような場所じゃないだろうけど、だからこそ若い女性が一人でいるのは危険だと思った訳で。保護者……とか、ご家族の方は家にいるのかな?」
残念なものを見るような目で見られている気がするのは気のせいだろうか。
けれど家族と言われて私の思考は素直にそちらに向いてしまう。
私は大学入学と同時に上京してきて一人暮らしだ。
保護者という言い方にも引っ掛かるが、そんな気遣いをする多分警察官の科白にぶふっと吹き出してしまった。
「だーいじょうぶですよ。私はね、電車に乗っても痴漢にあった事も無いんですから」
「……そう言う問題じゃないだろう」
「あと親はー、福島にいまーす」
しゅたっと額に掌を翳し、敬礼っぽいポーズで答えてみる。