やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
あわあわと焦る私に愛莉さんは白けた目を向ける。
「落ち着いて、仕事には来てるから」
「えっ」
そういえば二人は同じ職場なんだっけ?
目を白黒させる私に愛莉さんは腕を組み睨みつけてきた。
「あなたの家にいるんじゃないの?」
真っ直ぐに見つめる瞳に息を飲む。
(可愛い顔が怒りに染まると、こうなるのね……)
どうしていいか分からなくなる。痛くない腹を探られるというのは、こういう気分なのだろうか。
智樹とは会っていないと、きちんと否定しないと。
ぎゅっと口元を引き結べば、愛莉さんは片方の眉をぴくりと上げてみせた。
「あなた……智樹に何を言ったの?」
「えっ……」
僅かに低くなった声に、こちらの気勢が削がれてしまう。
どこか険を含んだ眼差しに、身体が強張る。
「智樹が帰って来ないのは、あなたのせいなんでしょう?」
「な、何を言ってるんですか? 愛莉さん!」