やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
 
(どうして……また……)
 
 愕然とした気持ちになる。
 可愛い愛莉さん。
 長く智樹の心を離さなかった人。
 ……そんな人が今、河村君を熱心に見ている……

(嫌!)

「愛莉さんっ、場所を変えましょう!」
「痛い!」
 急いで愛莉さんの腕を掴んで促せば、彼女は怯えたように私を見つめてポロポロと涙を溢した。
「酷い……私が何をしたって言うの?」
「え、あの……ごめんなさい」

 思わず掴んでいた手を離し、一歩下がる。
 愛莉さんは河村君に助けを求めるように視線を向けた。
 私も釣られるようにそちらに目をやり、息を詰める。

 いつも笑顔の河村君の表情が抜け落ちて、能面のようだ。
(どうして……)
 そう思いながらも、頭はそこに至る思考に占められる。
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