やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
研修期間中の姿勢を思い出す。
(誰に対しても等しく親切で、それでいて一歩引いて接していた。多分、女性に、誤解をされないように……)
だから、自分だけが特別な訳ではなくて……
そして、だからこそこんな関係を続けるのは間違っている。
智樹との事に区切りがついたのは、最近で、情けも、つい今まで持っていたくらいなのに……
(浮かれないようにしないと)
愛莉より、彼女に打ちのめされてた自分より、河村の一挙手一投足が気になって仕方がない。
ぐっと唇を噛み締め、一人ごちる。
「暫く距離を置かなくちゃ」
だって──
好きだと言う気持ちに支配されたら駄目だ。
(智樹みたいな関係になるのは、もう嫌。だったら──)
友達のままがいい……
昂りそうになる自分の気持ちから逃げるように、必死に足を動かした。