やっぱり幼馴染がいいと彼氏に振られたら、彼のライバルと恋人の振りをする事になりました
二人の関係
愛莉視点
え、どうして……?
ばたんと閉まるドアを呆然と見つめて、上げかけた手を下げる。
智樹がずっと私を好きだったのは知っていた。幼馴染だったから、それこそ物心ついた頃から。
私も幼稚園くらいまでは智樹が大好きで、大きくなったら智樹のお嫁さんになる。なんて言っては大人たちに温かく笑われていたけれど……
智樹は、なんていうか普通の男の子だった。
小学生を数年過ごせば、クラスで一番カッコいいのが誰かなんて分かってしまう。
私自身が誰より可愛いって事も。
だから小学校から恋人が切れた事がない。
そうなるともう智樹に構う時間も無かった。
家が近いから時々顔を合わすけれど、そんな時は大体彼氏と一緒だったし、智樹は気まずそうに目を逸らすだけで会話も無かった。
智樹もたまに誰かから告白されたりして、その度に断っているという噂は聞いた事があって。
多分私の事がまだ好きなんだろうなあ、なんて思っては少しばかり嬉しくはあったのだけど……やっぱりそれだけで。