ピエロの初恋
健斗はピエロ、愛は空中ブランコでこのサーカスで欠かせない存在となっている。練習と公演が繰り返される毎日は、とても刺激的で大変だ。

ドラゴンサーカスは日本各地を回り、日本中の人に驚きと感動を届けている。そのため、同じ土地にいることはないのだ。

「お次は、ピエロによるジャグリングと玉乗りです!」

団長の声が響き、観客が拍手をする。いよいよ健斗の出番だ。

「行ってくる」

愛に笑いかけ、健斗はスポットライトが輝く舞台の上に飛び出した。

舞台に健斗が立てば、人々の期待の目が突き刺さる。健斗はペコリとお辞儀をし、ポケットからカラフルなボールを取り出すと、ボールを空中に投げては取るを繰り返す。涼しい顔でジャグリングをする健斗に対し、観客の笑顔が見えた。

サーカスというのは、夢のような世界だ。現実とは真逆で、楽しく綺麗な魔法のような時間が続いていく。その世界をプレゼントするのが、健斗たちの仕事だ。
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