ピエロの初恋
健斗は、ポケットから青いキャンディを取り出した。愛にもらって食べていないキャンディだ。
キャンディを女の子の目の前に差し出してから、健斗は「何やってんの僕……」と恥ずかしくなっていく。いきなり知らない人にキャンディを差し出されて、怖がらない女の子などいるはずがないというのに、体と口が動いてしまっていた。
「ありがとう」
突然見知らぬ男の子に声をかけられたというのに、女の子は笑ってくれた。そして、彼女の白くて細い指を持った手が優しくキャンディを掴む。一瞬触れた手の柔らかさに、健斗はこのまま時が止まったらと考えてしまった。
「ねえ、あなたってもしかして舞台に出てたピエロさん?」
女の子にジッと見つめられてそう言われ、健斗はドキッとしてしまう。驚きと恋心が混じった。
「どうしてわかったの?」
「顔に白い塗料が少し付いているから」
ほら、と女の子が手にした手鏡で健斗が確認すると、確かに拭き残してしまった塗料があった。恥ずかしいと思いつつ、こんな小さなことからピエロだと当てた彼女をすごいと思ってしまう。
キャンディを女の子の目の前に差し出してから、健斗は「何やってんの僕……」と恥ずかしくなっていく。いきなり知らない人にキャンディを差し出されて、怖がらない女の子などいるはずがないというのに、体と口が動いてしまっていた。
「ありがとう」
突然見知らぬ男の子に声をかけられたというのに、女の子は笑ってくれた。そして、彼女の白くて細い指を持った手が優しくキャンディを掴む。一瞬触れた手の柔らかさに、健斗はこのまま時が止まったらと考えてしまった。
「ねえ、あなたってもしかして舞台に出てたピエロさん?」
女の子にジッと見つめられてそう言われ、健斗はドキッとしてしまう。驚きと恋心が混じった。
「どうしてわかったの?」
「顔に白い塗料が少し付いているから」
ほら、と女の子が手にした手鏡で健斗が確認すると、確かに拭き残してしまった塗料があった。恥ずかしいと思いつつ、こんな小さなことからピエロだと当てた彼女をすごいと思ってしまう。