運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
あなたは誰なの
…今日もいつもの夢を見た…
…リリス…やっと見つけた…愛しているよ…
…見つけたって…私のことなの…
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京子が珍しく慌てて駆け寄って来た。
京子が走るなんて、余程のことなのだろうと思っていると…
「め…恵美…今ね、龍崎部長を食事に誘ったら、OKもらっちゃったの!きゃ~どうしよう!!」
頬を赤くして舞い上がっている。
少女のような表情をする京子はとても可愛く見えた。
「良かったね、京子…」
「さっきエレベーターで龍崎部長と一緒になってね、勇気出して食事に誘ったら…“いいよ”だって…うふふ」
なんとも京子の行動力には驚かされる。
ただ、何故か嫌な予感も少しあった。
「でも一応…龍崎部長も男だから気を付けてね…」
「大丈夫…恵美と違って、お子ちゃまじゃないし…もちろん食事だけで終わらすつもりは私も無いしね。」
そのつもりで行くのなら、もう京子を止める理由は無いが、何故か胸騒ぎもする。
(…考えすぎかな…)
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それから3日後…
私の心配は当たってしまったようだ。
朝から元気の無かった京子が、昼食を頬張りながらポツリと話始めた。
「恵美。私さぁ…彼氏ともう別れようと思うの…」
「なんで!そんなに急に?」
「龍崎部長と食事の後に、ホテルに行ったの…」
「うん…それで…」
「もう…他の男とはしたくなくなる程、溶けそうだったの…もうあの人しか見えないのよ…」
「…京子…龍崎部長と付き合うの?」
「それがさぁ…龍崎部長には愛している女性がいるらしいの…」
「それじゃ…京子は他の女性を愛している龍崎部長を諦めないということ?」
「何故かわからないけど…心が奪われたっていうか…あの人が全てって思えるの…」
「京子、良くわかんないよ…京子らしくない…」
京子はいきなり泣き出した。
(…あんなに強気の京子が…人が変わったみたいだ…)
京子の話した、“心が奪われた”という言葉は、私から見ても今の京子にしっくりする表現だった。
確かに龍崎部長と会って以来、京子の様子がおかしい。
心を奪われた人形のようになったというべきか、覇気がない感じだ。
(…何故かとても怖い…京子がこんなになるなんて…あの人はどんな人なのだろう…)