運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~

(…口づけだけで…目眩がしそう…)
(この感触…ずっと前から欲しかった気がする…何故だろう…)


「愛しているよ…私のリリス…」


(この名前…私なの…龍崎部長が愛している人なの…?)


「龍崎部長…あなたは…誰ですか…私は…誰なの?」

「俺はずっと…ずっと…お前を待っていたのだ。何度生まれ変わっても、お前を探し出す…」

「私は…あなたの…妻だったリリスの…生まれ変わりなの?」

「俺の夢を何度も見ただろう…愛しいリリス…」

「あなたは…まさか…本当に…悪魔なの?」

「そうだよ…俺は…お前の夢に出てきた悪魔の生まれ変わりだ。ずっとずっと探していたのだ。」


私はその名前を聞いても、不思議と恐怖は感じなかった。
むしろ、胸につかえていたものがすっと流れたように感じる。


そして、いつしか龍崎部長の姿は夢で見た美しい悪魔と変わっていた。
その背中には美しく輝く黒い翼が付いている。
その姿は夢で見たよりも、秀麗で息が止まるほど美しい。

「俺はサタンの別名ルシファーの生まれ変わりだ。そしてお前は愛しい妻、リリスの生まれ変わりなのだよ。」

その悪魔は私を抱き寄せ深い口づけをした。

私は溶けるように気を失っていた…


「恵美、恵美…大丈夫か…起きろよ!!」

健斗の叫ぶような声がして、私は突然目が覚めた。
健斗はとても心配そうな顔をしている。

「あぁ…健斗…どうしたの?」

「何言っているんだよ…医務室の看護師さんが、うちの課に知らせに来てくれたんだよ。恵美を呼んでも起きないって言うから、心配したよ!大丈夫か?」

後ろでは、看護師の女性が心配そうに覗き込んでいる。

「ごめんなさい…私…よく分からないけど、気を失っていたみたいです。でも、もう大丈夫です。」

私は先ほどの出来事を思い出し、部屋の中を見渡した。
しかし、そこに龍崎部長の姿はなかった…


(夢だったのかな…)
(でも…この唇の感触はすごくリアルに覚えている…)
(それに…私の体から龍崎部長の香りがするような…)



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