運命の恋人 ~上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった~
揺れる想い

「恵美、ただいま…」

「お帰りなさい。健斗、大変だったね…お疲れ様でした。」


健斗が出張から戻ってきた。
たった2週間の出張なのに、健斗に会うのが新鮮に思える。

健斗は出迎えた私を強い力で抱き締めてくれた。


「健斗…嬉しいけど…痛いよ…」

「このまま壊してしまいたいほど…会いたかった。」

「健斗…」

健斗はそっと腕をほどくと、何かを鞄から取り出した。
小さな小箱に赤い大きなリボンがついている。

「恵美、本当はクリスマスに渡そうと思っていたけど…待てないから…開けてみて。」

私は健斗に言われた通り、リボンをほどいた。
中から白くて可愛い小箱が出てきた。

「恵美…開けてみて…」

そっと箱を開けると…
キラキラと光を放つ石の指輪が出てきた。

「健斗…これ…これは…」

健斗はその指輪を取り出し、私の薬指にゆっくり差し込み微笑む。


「恵美…俺と結婚してくれるか?」


「ありがとう…健斗…嬉しい…」

私は突然のことに涙が溢れてきた…
健斗の温かい腕に抱かれて最高の幸せだ。



なのに…

胸がズキッっとする…

こんなときに…

なぜ…



「恵美…愛してる…」

健斗の熱い口づけ…
私の奥深くまで注がれる、健斗の愛情のようだった…


私は何故か健斗から唇を離した。


「…恵美…?どうしたの…」

「ごめんね…健斗…今日はちょっと貧血で体調良くないの…」

「…そう…ごめん俺も…やり過ぎたね…」

寂しそうな表情の健斗に胸が締め付けられる。


(…ごめんね…健斗…)

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