運命の恋人 ～上司は美しい悪魔の生まれ変わりだった～

軽い気持ちで来た『前世占い』だったが、全てを当てられたようで恐くなった。

「恵美、大丈夫…。顔色悪いよ。」

「…うん。大丈夫。」

「あのさぁ…占いだから…当たってないかもね…だって悪魔なんて…考えられないよ。」

「そ…そうだよね」

京子は私を占いに誘ったことを、少し後悔しているようだった。

「恵美…ごめんね…なんか思っていた占いと違ったね…」

「大丈夫…気にしてないから…京子、少し呑んで帰ろうか…？」

「もちろんだよ…そういうお誘いは大歓迎…フフッ」


京子と静かなたたずまいのバーを見つけ、そこに決めた。
そこは、年配の素敵なバーテンダーさんが優しく微笑む、とても居心地の良いバーだった。
私達はお勧めのカクテルを作っていただき大満足だった。

暫くすると、私の携帯が鳴った。

知らない番号だ。

「はい…鈴木です。」

「あっ…鈴木さんの携帯ですか、こちら七本木警察です。」

「…はい。なにか…」

「高山健斗さんはご存じですか…今、交通事故で病院に運ばれました…」

「…えっ…事故ですか…今どこの病院ですか？」


私はそこからどうやって病院に行ったか自分でもわからないほど動揺していた。

京子も来てくれると言ったが、状況がわからないので、とりあえず一人で駆け付けた。
病院に着くと、看護師さんが説明する。


「今、高山さんは手術中です。とても危ない状況です。ご家族に連絡しましたが地方のため、すぐに到着できないみたいです。ここでお待ちください…。」

なんで…健斗が…噓でしょ…信じられない…
目の前が真っ暗になる…
めまいがして倒れそうになった時、誰かが私を支えた…


私を抱き支えたのは龍崎部長だった。

「鈴木さん、大丈夫か？」

「り…龍崎部長…なぜここに…」

「会社から連絡があってな…駆け付けたんだ。」

「ま…まさか…あなたが…健斗を…」

「…誤解されても仕方ないが…僕は君を悲しませることはしない。」

「お…お願いです…健斗を…健斗を助けてください…」

「…僕も出来る事と、出来ない事がある。」